BOOKSCANにインタビュー記事を上げている著者に怪しげな手紙が届いているらしい

最近BOOKSCANで自炊代行してもらっていてそんな日記も書いていたわけなんだけど、なにやら出版広報センターなるところがBOOKSCANにインタービュー記事があがっている著者の人たちに手紙を送っているらしい。

インタビュー記事を取り下げろというわけでもなく、訴えるというわけでもなく「自炊代行は違法性が高い事業で民事訴訟の案件があることを理解せよ」という内容になっている。何がしたいのかよくわからない。BOOKSCANを訴えれば済む話だと思うのだがなぜそれをしないのだろう?

BOOKSCANでは著作権については以下のような説明をしている。
http://www.bookscan.co.jp/law.php

BOOKSCANのPDF書籍変換システムへ依頼できるものは、著作権法に基づき、著作権フリーのもの、著作権が切れているもの、ご自身で著作権を有しているもの、著作者の許可がとれているものです。該当しないものは、トラブル防止のため、ご遠慮ください。
誤解されがちですが、出版された本の中身の著作権が出版社にあるとは限りません。出版社が出版権だけを有している場合は、その著作物の複製について許諾する権利がありません。著作権を有していない出版社および第三者に許諾を得ましても何ら法的根拠はありませんので、必ず著作者からの許諾が必要となります。

手紙の内容では違法であるとは言わずに、「違反」であるとか「違法性が高い」という曖昧な言い方をしている。

ちなみに去年、音楽や映像に対する著作権法は厳しくなったが、基本的には違法ダウンロードに関する処罰が厳しくなったのがメインで、複製についてはコピー防止機能を除外してコピーすることが違法であってコピー防止機能がついていないものを複製することについては規制の対象になっていない。

平成24年10月から著作権法が変わります 販売または有料配信されている音楽や映像の「違法ダウンロード」は刑罰の対象となります
また、個人的に利用する目的であっても、コピー防止機能がついているDVDを自分のパソコンなどに取り込む行為(リッピング)は、新たに違法となり、また、このようなコピー防止機能を解除するプログラムなどを作成や譲渡などした場合が刑罰の対象となります

書籍のスキャンについて明確に違法といえない現状に対して出版広報センターがなんらかのアクションをとらないと考えることは一定の理解はできる。

ただ音楽のデジタル化はAppleがアーティストの理解を得ることで大きく前進したわけだけど、著作権法は著作権者を守るのが目的であってデジタル化や複製を制限するのは手段であって目的ではない。アクションの対象が本の著者というところが奇妙なところである。

そして音楽を例にしてもうひとつ言いたいのは、複製について議論の対象になっていたのは主にデジタル to デジタルの複製であってデジタル to アナログの複製についてはコピーではなく録音であり、データが劣化するということ規制のしようがないことから対象になっていないように思える。本の電子化はアナログ to デジタルであってアップロードは問題だと思うが劣化したコピーファイルを個人で利用することを厳しく規制することが誰のためになるのかよくわからない。

書籍というのは時に書いた人よりもその本そのものに愛着がわくことがある。守りたいのは著者なのか「書籍」なのかちょっと微妙に論点がずれているような気がしないでもない。