勝者は全てを手にし、敗者は全てを失う

WBCフライ級タイトルマッチは撃ち合いが噛み合い、とてもすばらしい試合だった。最後まで手を出し続け負けた挑戦者にも惜しみない拍手が送られただろう。

しかし、なんとなく違和感が残った。

「ボクサーは負ければ全てを失う。それが他のスポーツと違うところ」
試合前の内藤選手の弁。

負けた山口選手。1Rからチャンピオンにペースを握られオープンスコアリングでも圧倒的なポイントリードを許し、終盤に手をゆるめないチャンピオンに連打を許し無念のKO負け。残念ながら一度も王者内藤をヒヤリとさせることはできなかったように見えた。

タイトルマッチは当然だが、スパーリングでもエキシビジョンでもない。良い試合をして満足できるのはおそらく勝ったチャンピオンだけなんじゃないだろうか。挑戦者はどんな内容でも勝ちたいに決まっている。

自分が山口選手の立場だったら良い試合だったと言われても、完敗だしどこが良い試合だったんだよ!と思ってしまうだろう。

改めてボクサーというのは厳しい世界であり、やってる本人達が一番わかってるんだろうし、素人がそこまで考える必要はないんだろうけど、安易に良い試合だったと言えないなぁと感じてしまった。