タイ戦の感想。
前回の通り注目は岡田監督が、出場停止の大久保の代わりを誰で埋めるのか、それともフォーメーションを変えるのか。山瀬を入れるのかと思いや驚いたことに19歳の香川を大抜擢した。
岡田監督が若い選手を積極的に使うのは周知の事実だけれど、もし負ければ予選敗退も解任も免れない状態で公式戦に先発したことがない19歳の香川をまさかスターティングメンバーにいれてくるとは思いもよらなかった。対して山瀬に至ってはベンチからも外れた。ひょっとすると香川がどうこうというよりも前回の試合の山瀬の消極的なプレーが岡田監督の逆鱗に触れたのかもしれない。バーレーン戦後に岡田監督は俺流宣言をしたと同時に選手に見切りをつけるような発言をした。川口、中村憲剛、啓太は公式戦には途中出場すらしていない。(啓太は体調不良もあるだろうが)カズを外したこともあるように、大胆に選手を外して見せるのも俺流なのかもしれない。
さて、試合は香川の動きに注目しつつ、前半は日本のペースと言って良い出来だった。香川はトップ下みたいなことを言われていたみたいだが、実際には今の日本のチームは俊輔と松井がサイドを入れ替わったりトップの玉田も動く。香川も基本は真ん中だがサイドに流れたり流動的な動きが目立つ。なるほど、確かに孤立しがちな山瀬に比べると香川の方がこのチームにはフィットするかもしれない。
タイは日本とよく似たサッカーをする。体格も似ているかすばしっこくつなぐサッカーをする。しかし、つなぐサッカーをする同士のチームが対戦すると中盤の技術や組織力が勝敗をわける。日本は前半、タイがボールを持ったら厳しいチェックでつぶし、自分達がボールを持ったらダイレクトプレーで相手のチェックをかわす。チームのレベルの差がはっきりと出た。バーレーンに引き分けたタイだが日本とやるのは相当やりづらかっただろう。
日本は中盤を支配し得意のセットプレーで2点をあげ自分達のペースで試合をした。後半は疲れが出たのか、それとも2点とり安心したのかタイが攻め込む場面も何度があった。決定的な場面は特に無かったが日本の守備は安定していたとは言い難い。両CBは高さはあるが特にスピードが長けている選手ではない。また守備にもろさが残る内田もまだまだミスが目立っていた。オシムジャパンがアジアカップのサウジ戦で守備をズタズタに崩されたのはまだ記憶に新しい。このところ3バックの試合を見ていないが、最終予選は果たしてこの4バッグで大丈夫なのかが心配だ。
この試合の収穫は中村憲剛のゴールだったと思う。バーレーン戦後まったく試合に出ることがなかった憲剛が途中出場。あとから出た選手らしく、積極的なプレーが光り、ゴールのシーンも見事な二列目からの飛び出しだった。これで即、レギュラー復帰とはいかないだろうが、何試合も外された選手が決して腐らず久々の途中出場できっちり結果を果たすというのはチームの全体のレベルアップに寄与するし岡田監督も喜ばしいことだろう。
さて、オマーンとバーレーンは引き分け日本は最終戦を待たずして3次予選突破が決まった。最終戦は消化試合になり、けがや累積警告が心配な選手は外れる可能性が高い。しかし、個人的にはただの消化試合ではないと思う。アウェーのバーレーン戦とは全く違う戦いをして、あれはまぐれでやっぱり日本には勝てない。とバーレーンに刻んでおく必要があると思っている。岡田ジャパンの俺流の結論を評価するのはバーレーン戦が終わってからにしたい。