ザックが無能とか、ジーコジャパンの時と同じという意見もあるが僕はそうは思わない。監督として素人だったジーコと経験のあるザックを比較するのも失礼な話。仮に同じような結果になったとしてもそれは結果論。
ザッケローニの采配はよく言えば手堅い、悪く言えばリスクを冒さない。それは一貫している。困ったときにハーフナーを入れる節があるがフォーメーションは崩さない。ヨルダン戦はクロスをハーフナーに当てるために清武を右サイドにまわして、サイドバックに駒野を入れ替えるという工夫も見られたが、フォーワードを二枚にする、ボランチを一枚削る、デフェンスを一枚減らすといった策は結局うたれなかった。
ザックの采配は一貫しているから結果論であれこれ言うのはよくない。例えばオマーン戦はサイドバックとして投入した高徳が決勝点を生み出した。僕はあの采配のときから疑問に感じていたのだけど、世間はザックの采配すごい!って感じだったので水を差す必要はないなと思った。
サッカーは攻撃の人数を増やせば点が取れる簡単なスポーツではないのでフォーメーションを変えることが正しいことではないわけだけど勝ちに行くという姿勢が采配から見えづらいということが気になっている。
モウリーニョは偉大なモチベータだが彼の能力は試合中にも発揮される。モウリーニョは負けている時に選手交代の2枚替え、3枚替えを平気で行ってくる。多くの監督は万事に備えて3枚目のカードは残しておくものだが彼は残り時間が多く残っている時でもお構いなしにすべての交代カードを切ってくる。そこには「ここで試合の流れを変えるんだ」「この試合勝ちに行くんだ」という強いメッセージが表れている。
もちろん他の監督が同じことは真似できないし、するべきでもないとも思うが、ヨルダン戦でどうしても勝ちに行くんだという姿勢は選手交代からは感じなかった。それがザッケローニのやり方なのだから尊重しないといけないがやっぱりストレスがたまる。