我那覇選手ドーピング問題でスポーツ仲裁裁判所(CAS)が点滴を「正当な医療」と認めた。つまり我那覇選手の勝利である。
早いものでもう一年経っていたらしい。もう一度問題を振り返ってみよう。
1) Jリーグでは2007年から静脈注射を正当な医療行為として行う場合以外は禁止することを決めていた
2) 体調不良の我那覇選手に対して治療の一環(疲労回復が目的?)としてクラブの医師が「にんにく」の静脈への注射をした
3) Jリーグは我那覇選手の件を正当な医療行為と認めず、ドーピングに当たるとしてクラブに1000万円の罰金・我那覇選手への6試合の出場停止を制裁として与える
このあと各チームのドクターがJリーグに説明を求めたり、日本スポーツ仲裁機構の仲裁をJリーグが認めず選手側に負担の大きいスポーツ仲裁裁判所(CAS)に対応してもらうことになり、ようやく今回の結果がでたという流れ。
我那覇選手勝利 -> Jリーグが悪い。の流れになりかねないのだが冷静に振り返ってみるとこの問題は繊細で難しいと思う。ドーピングに厳しい制裁を加えるのは当然だ。しかし、どこからがOKでどこまでがNGなのかの線引きは難しい。ある意味疑わしきは罰するというやり方も多少は仕方がないと思う。
今回の件は柔軟さがあれば良かったんじゃないかと思う。2007年にルールが変わって悪気があるわけじゃないのもわかるんだし、ドーピングを問題にするのではなく周知徹底していなかった点についてクラブにのみ罰則を与えて、次からは厳罰にいきますよ。という感じにしておけば選手がここまで後ろ指さされることも無かった気がする。
Jリーグとしては我那覇選手の行動はKYだったと思ってるかもしれない。日本スポーツ仲裁機構を認めなかったあたり、「こんなことに時間かけてるならサッカーに集中しなさいよ。我那覇クン」という思惑がどうしても見え隠れしてしまう。
第3者から見ても我那覇選手の行動に疑問視する人も居ると思う。彼はサッカー選手としてそれなりに良い年齢での一年をこの問題とつきあってしまった。勝ったとはいえその一年は戻ってこない。いまさら出場停止処分が取り消されたとしてもプレーが戻るわけじゃない。だったらわかってくれる人はわかってくれるから良いよ。とどこ吹く風でサッカーに集中してれば良かったんじゃないという考えもある。
ただサッカー選手の前に一人の社会人でもあるので個人的には我那覇選手が決めたことならどちらを選んだとしても味方をしてあげたいと思う。
この件は、にんにく注射の正当性を認めるか否かははっきり言って問題ではないと思う。それよりも結論を出すまでにこれだけの労力と時間をなぜ選手側に課さなければいけなかったかを考えないといけないんじゃないか。そうならないと今回の我那覇選手の行動は報われない気がする。Jリーグはドーピングの判断を間違えたことよりも、我那覇選手の貴重な現役期間をサッカーに集中させられなかったことについて反省すべきだろう。