ジ、ジーコよ・・・

日経ビジネスにジーコがドイツワールドカップの結果に対して
コメントが載っていました。

簡単にまとめると以下の通り


  • 予選敗退は残念でならない
  • F組は2位通過できると思っていた、分岐点はいくつかあったが負けた結果は覆らない
  • アジア予選を勝ち抜きW杯出場を決めたことは十分な功績である、四年間には悔いはない
  • 前回は自国開催で決勝リーグに進んだが、ホームアドバンテージがない今回の大会で決勝リーグに当たり前のように進めるというのは大きな勘違いである
  • ベストを尽くしたのに謝れというのは日本人ぐらいだ
  • トルシエは自分の戦術に選手を当てはめたが、私が目指したのは選手が自らの頭で考えするサッカー
  • 日本人はマニュアルに沿う教育が多いため、自分のやり方は少し高度すぎたのかもしれない
  • 私が目指したサッカーは将来生きてくる、管理するサッカーでアジアで勝てても世界の強豪国には勝てない
  • マニュアル通りに動く会社も大きな伸びは期待できない、リーダーや社員が自らの考えで動かないといけない
  • 今から指導方針を変えても、その選手が代表時になるまで15年20年はかかる
  • 日本人は怪我が多い、フィジカルを鍛える部分が日本は遅れている、クラブでは栄養学を取り入れて怪我をしにくい選手を育てるべき
  • 午後3時のキックオフなど商業主義に走りすぎている部分がある、日本サッカー協会には発言力を強めて欲しい
  • キックオフの時間変更を要請したが変わらなかった
  • 難しいことをいろいろ言ったが、これからも日本にはアジアNo1を死守して欲しい

日経ビジネスがこの記事を載せたのはマニュアル管理ばっかりなのは企業でも良くないよ。ということなのかはわからないが、この記事を読んでもジーコに対する失望感は依然として消えない。

確かに日本人は日本が強くなったと勘違いしていたかもしれない。が、ジーコ本人もワールドカップ優勝を目標にしたり、日本のサッカーは世界に通じる、世界を驚かせると日本人を煽っていたことも確かだ。期待を煽るだけ煽っておいて結果がでてから日本人が勘違いしている。このような言い方は疑問が残る。責任をとらないトップの典型例にしか見えない。

また怪我が多いのは不運だったが、それはこの4年間急な話ではない。フィジカルが弱いからこそ組織や戦術で戦うことが必要だと気がつくはずである。それを考えるのは監督の仕事のはず。ジーコはそれを放棄していたように見える。自由なサッカーはある程度の組織や戦術の上で作れなければ意味がない。世界の強豪国が戦術をおろそかにしているという話は聞いたことがない、自由なサッカーが重要だからと言って組織や戦術をおろそかにして良いという理由にはならない。

トルシエ時代によくあったCKからエリア外の選手に合わせてのボレーシュートのようなトリックプレーは身長差があるオーストラリアには有効だったはず。こういったフィジカルの差を埋める工夫がジーコには全く見られなかった。ドイツの視察隊が日本の練習を見て中学生の練習と評価したようにこれでは監督として無能であると言われても仕方がない。

さらに、怪我が多いと問題視しているのであれば田中誠が怪我をしたときに何故バカンス中の茂庭を緊急招集しなければならなかったのか。これはリスク管理が全くできていないことに他ならない。

日本人がマニュアル重視なところ見抜いたのは良いポイントであると思う。アフリカで上手く選手をコントロールできなかったトルシエが日本で戦術を当てはめて成功したのもこのあたりの理由かもしれない。しかしジーコはもう日本に来て15年。ジーコを監督として選んだ人が何を期待していたかはわからないが、日本人を良く知っているということもあっただろう。人があるポジションに着いたときに、何を自分に期待されているかを認識しなければいけない。いきなり日本に呼ばれた監督ならともかく15年も日本で、しかもサッカーと関わってきたジーコが自分のやり方が日本人には合わなかったかもしれないと言うのはいかがなものか。日本が強くなるには15年、20年かかると言っているが、では20年後を見据えた上でこの4年間で何をすべきかをトップ(監督)として部下(選手)に方向付けすべきである。ジーコがビジョンを選手にちゃんと伝えられたかは疑問が残るのではないか。

ジーコが全力を尽くして後悔していないというのであればそれには何も言えない。しかしジーコの発言ややり方についてはある集団のトップとして、疑問視されることがいくつかあるのも確かである。

日経ビジネスがジーコのインタビューを載せるのであれば、一トップとして正しい姿があったのかという視点で記事にしてくれば興味深かったのにと思う。