カラーコーディネーター3級

2007/06に受験した時に2007/02/10の第3版のテキストを要約するという勉強法をした産物。

3級メモ

色が見えるまで

色が見えるためには次の3つの条件が必要

  1. 光があること
  2. 眼が働いていること
  3. 観るべき対象物があること

多くの動物は眼を持っているがそれらが人間と同じ色を観ているかはわかっていない。色を決める条件は

  • 光源から出る光の特性。たとえば白い光の白、赤い光の赤など。
  • 眼の視感覚の特性
  • 対象物の特性。青い紙か赤い紙かなど。

ある色が一定に見えるためには、光と眼と物体の3つの特性を一定にする必要がある

電磁波
 光(可視光線、可視エネルギー、可視放射)、白光色
  自然光
  人工光
  • 標準の光(標準イルミナント)
    • 色を正しく判断するために国際的定められている光
  • タングステン電球(白熱電球)

    • 暖色系が鮮やかに見える
  • 通常見ている物体の色は証明している発色光の中から選択的に反射、または透過された光である

  • 同じ色に見えたものでも照明を変えると別の色に見える、これは反射特性が異なっているため

  • 色を比べるときは明るさを一定にし、同じ特性を持った光の下で見比べないと正しい評価はできない、色を正しく判断するためには光の種類を定めておく必要がある、これは国際的に定められており、その光は「標準イルミナント」と呼ばれる

  • 視覚の平均的な特性を持つ人を標準観測者と呼ぶ、標準観測者と標準イルミナントが色を計測するために必要

  • 光の物理的な現象には、反射、吸収、屈折、干渉、回折などがある

  • 物理的に同じ特性をもつ色が異なって見えるとき、人間の心理的な現象が影響していることがある。色とは心理物的な存在と言われるのはそのためである。

  • 心理的な色の見えに関係した現象としては

    • 色の恒常現象
    • 対比現象
    • 同化効果
    • 残像現象
    • 面積効果
      などがある
  • 色が違うと感じたら、物理的な違いなのか、心理的な違いなのかをよく考える必要がある。物理的な違うを判定するにはまず、光の条件が同じかを検討し、光が同じであれば背景色や色の面積を同じにして見比べる。面積効果により面積の大小でも色は異なって見えることがあるため。

  • 色は製品イメージのコントロールに活用されている

  • 色の調査はギリシャ時代から論じられており、数多くの色彩調和論があるがいまだ決定的なものはない。色彩調和論を体系的に論じた研究者としては

    • ゴブラン織りの研修者であったフランスのシュヴルール
    • ノーベル化学賞も受けたドイツのオストワルト
    • アメリカの色彩学者、ムーンとスペンサー
      が代表的である、ただし、色彩調和論は純粋に色彩の問題のみに焦点をあて、かつ、普遍的な法則を探ろうとしている点に留意しておく必要がある。
  • 実際にはクライアントの趣味嗜好、用途、時代性を強く意識するため、色彩調和と実用上の配色には隔たりが起きることが少なくない。デザインに与えられる美観は現在生きている時代や環境から感じ、評価するものであるため、普遍性を追求する調和論とは相容れないケースも多い。とはいえ、知識もなしに感だけに頼っていると頭打ちになうる。色彩調和論を学んでおくと手詰まりのときによい手がかりを得られることができるようになる。

色と心理

  • 赤->夕焼け->ハワイ->楽しい。といったように連想にはある観念からほかの観念が引き出される側面があり、連想は観念連合と呼ばれる
  • 連想は個人によって異なるが、ある程度の年齢や性別、職業といった共通点でくくると連想の内容にも一定のまとまりが見れれる。連想には生理学的な人間の営みとして共通する連想もあれば、集団に固有の生活体験に根差した連想もある

連想には
* 赤->太陽、緑->木の葉のような現実の事物につながる具体的連想
* 赤->情熱、緑->平和のような精神的概念につながる抽象的連想
がある

  • 抽象的連想には、喜怒哀楽、快・深い、といった感情的概念、寒暖感、軽重感といった感覚的概念、男性的、エキゾチックなどの社会的・文化的概念があり、このように抽象的概念にも結びつきやすい性質を色の象徴性という。また抽象的概念と結びついた色の連想語を色の象徴語という

    • 一つの色に対する具体的連想と抽象的連想の割合は赤系統でおおよそ7:4(日本色彩研究所調査による)
    • 一般的に抽象的連想よりも具体的連想の方が多い
    • 中間色より赤、青、白、黒のような明快の色の方が連想語が多い傾向がある。
    • ある刺激に対する連想語の出現数は一人あたりせいぜい10語程度と言われる
    • 有彩色は具体的連想に、無彩色は抽象的連想に結びつきやすいとされる
    • 抽象的思考レベルが低い、幼年・少年層では連想は身近な動・植物、家族に関するものをあげるケースが多い
    • 年齢があがるにつれて連想の範囲が文化や社会的事象を含むものに広がる
  • 色の連想が人々に受け入れられ社会のなかで固定化されることで色の象徴となる

  • 中国の古代哲学に五行思想(木・火・土・金・水)がある

  • 聖徳太子の冠位十二階の制は官職としての位を冠の色で定めたものである、最高位はだが、以下は五行の木以下の循環どおり、青・赤(朱)・黄・白・玄(黒)があてられた
  • 方角では

    • 木が東(青龍)
    • 火が南(朱雀)
    • 土が中央
    • 金が西(白虎)
    • 水が北(玄武)
  • 日本では太陽を赤とするが、世界では例外的で、西欧諸国では太陽のシンボルカラーは黄色である。これは占星術で太陽が黄色になっている影響もある。

  • 日本語の辞書で色を引くと、性的・情念的な意味が含まれる。これは中国語、朝鮮語など漢字圏の色という言葉に付随する特別な意味である
  • 英語やフランス語ドイツ語ではそのような意味はない。代わりにヨーロッパ圏では色はを意味し、スペイン語のcolorでは旗のほか、紋章の色としての青・赤・黒・緑・紫を差す

    • 13世紀には厳密に規定され紋章学では、金は名誉と忠誠、銀は信義と潔白、青は敬謙と誠実、赤は勇気と犠牲、緑は若さ、成長と豊かさ、黒は悲しみと後悔、紫は忠誠と高い身分をそれぞれ象徴する
  • 宗教画では、聖母マリアの外壁はイコンの伝統に基づきで描かれているケースが多い。青は天国と真実の象徴であり、魔除けの色ともされていた。また赤はキリストの血、すなわち受難のシンボルでらい、カソリック教会では慈悲と同胞愛のシンボルとされる

  • ピカソの人生の青はもの悲しい気持ちを抱かせる、ムンクの叫びの赤・オレンジ・黄色は極度の興奮、不安、緊張を感じさせ、ヴァザルリは色によって立体感を表現した。

  • 裏切りものユダは黄色の着衣で表現されることが多い。キリスト教文化圏における背景から英語、フランス語の黄色にはプラスの意味が含まれず、裏切り、臆病、意気地なしなどのマイナスの意味がある

  • 色がもたらす心理的効果の背景にはそれぞれの時代や地域における文化的営みが投影されている場合が多い

  • 赤と危険、黒と死など文化を異にする多くの民族にも共通する普遍的な心理的効果もある

  • 心理学に共感覚という現象がある、音を聞いて色を感じる色聴が一例

  • 赤やオレンジ、黄から熱さという皮膚感覚を連動する場合がある、このような感覚相互の対応性を共様性という

  • 色相の心理的効果:色の寒暖感(あたたかい色、つめたい色)

  • 明度の心理的効果:色の軽重感(重い色、軽い色)
    • 暖かい順に、赤・橙・黄・緑・黒・青・白
    • 明度の高い色ほど軽く、明度の低い色ほど重く判定される
    • 日常の運搬に使われる箱やコンテナの色には寒色系の明るい色をすすめている
  • 色の硬・軟感-かたい色、やわらかい色
  • 明度の心理的効果:色の硬軟感
    • ベビー用品の多くに明度の高いパステル調が使われるのは柔らかい印象があるため
  • 彩度の心理的効果:色の派手・地味感
    • 色が人目を引く機能を誘目性という
    • 彩度が高く暖色系が誘目性を高める条件となる
    • 黒、白のような明度差は際だつ条件ではあるが、有彩色かつ高彩度でないと派手にはならない
    • 賞品のパッケージ、企業のロゴや看板には、誘目性が高い赤や黄、オレンジの組み合わせが多い
    • 派手、地味に似た心理効果に清・濁感がある、清色は必ずしも濁りのない高彩度色とは限らない
    • 絵の具の純色に白を加えてできる色->ティント
    • 絵の具の純色に黒を加えてできる色->シェード
  • その他の心理的効果

    • 色の進出・交代効果:飛び出る色、引っ込む色。周りの色や背景色との明度差が影響する。
    • 膨張・収縮効果:ふくらむ色、ちぢむ色。
    • 黒抜きと白抜きでは後者の方が大きく見える。
    • 心理学では図形を図、背景を地と呼ぶが、図に円を使い色を組み合わせた結果、地に対し円の明度が大きくなるにつれて円の見かけの大きさが増した。
    • 色相は関与せず、明度の影響が大きい。
    • 背景よい明るい色が実際より大きく感じられる現象は光滲という概念で説明されることが多い
  • 意味微分法(SD法)

    • イメージを知りたい対象をコンセプトとする
    • 情緒的意味の形容詞とその反対語を複数用意する(派手-地味、硬い-柔かいなど)
    • 複数の被験者にコンセプトについての評価を求める
    • 因子分析を行い意味空間に位置づける

色を表し、伝える方法

  • 色見本方式
    • その色を表している実物を集大成し、色見本で色を表示する
  • 色名方式

    • 現物を用いず、言葉に置き換えて色を表示する方法
    • 動物、植物、鉱物、自然環境の色の中で誰もが知っている実物の名称に「色」という言葉をつける(バラ色、朱色、空色など)
  • JISには色名方式で表された色名体型が2種類ある

    • 慣用色名
    • 固有色名が広く一般に慣用されたもの
    • らくだ色、柿色、藍色など由来がわかりやすくなじみやすい
    • 系統色名
    • 有彩色と無彩色に大別する、両者でJIS系では350色名
    • 有彩色では「明るい緑みの青」と記する。色の様子を組み立てた色名である
    • 明度および彩度に関する修飾語 + 色相に関する修飾語 + 有彩色の基本色名
    • 無彩色の場合は青みの明るい灰色のように色相に関する修飾語 + 無彩色の明度に関する修飾語 + 無彩色の基本色名で組み合わせる(ただし、第二項は第三項が灰色の場合にしか使えない、白と黒には明度がないため)
  • カラーオーダーシステム

    • カラーオーダーシステムの研究は1977年開催の国際色彩学会(AIC)から始まる

マルセルシステム

  • 米国の画家で美術教師であったマンセルが1905年に考案したもの
  • 色相、明度、彩度を色の三属性という
    • 三属性が異なる色票を順序よく配列し、色票に一連の数値を割り当てて表示したものをマンセルシステム
  • マンセルシステムはカラーオーダーシステムの一種
  • 1943年に修正マンセル表色系が発表、JIS標準色票はこれを採用している

  • 色相(Hue:H)

    • 赤(R)、黄(Y)、緑(G)、青(B)、紫(P)の五種類を基本色相としている
    • 中間色相として黄赤(YR)、黄緑(GY)、青緑(BG)、青紫(PB)、赤紫(RP)の5週類
    • 基本色相と中間色相の10色相を純色色相であわらし、色票を環状に並べたものを色相環という
    • 色相は10種類に限ってはいなく、200くらいまでは見分けることができるといわれている
  • 明度(Value:V)

    • もっとも明るい色(理想的な白)ともっとも暗い色(理想的な黒)との間を10段階に知覚的に等間隔になるように分割して配列した色票に10から0の数値をつけて表示する
    • 一般には白と黒の間に灰色群を明るい順に並べて、無彩色スケールとよび、有彩色も含めた明度の判定基準に用いる
  • 彩度(Chroma:C)

    • 同じ明度の無彩色からの隔たりの程度で1,2,3,…,10,12の数値で目盛り付けした色記号で表示する
    • マンセル表色系の彩度は表面色の色の見えにのみ用いる
  • 色の見分け方

    • 色相、明度、彩度の順に連記する
    • JISでは色相明度/彩度(1YR6/4)と記述する
    • 無彩色の場合は色相と彩度がないためN5.5のように書く
    • マンセル表記系を円筒座標で表したところ、実際には円柱ではなくいびつな立体になるためこれを色立体と呼ぶ
    • 色立体を無彩色軸に沿って切ると等色相断面ができる。様々な色が明度および彩度の違いにより表現できる。これをトーンという概念でとられることが日常的に用いられる

CCIC

  • CCICは色相とトーンを基礎とした色彩体系である
  • カラーコーディネータやデザイン専門家の配色実務に適合することを主目的
  • CCICは285色を収録しているが、その背後には632色からなる基本体系が設計されておりその中から選ばれたもの
  • 基本体系の内訳は、有彩色606色、無彩色19色、特殊色7色
  • CCIC285色の中には特殊色として金属色3色とパール色1色が含まれている

  • 色相

    • 色相環を高彩度領域24、中〜低彩度領域12に分割
    • 色相の基準値はマンセル色相環を80分割し、そのなかからほぼ知覚的等歩度に24色相を抽出
    • 色相はRed, Orange, Yellow, Green, Blue, Purpleの6つに分類
    • マンセルシステムの基本5色にOrageが加わったと考えればよい
  • トーン

    • 有彩色は21分割
    • デザインの現場で非常によく使われる低彩度領域のトーンを重視している点が大きな特徴
    • 無彩色では、ホワイト、ペールグレイ、ライトグレイ、ミディアムグレイ、ダークグレイ、ブラックの大きく6段階
    • 高明度領域が多様されるため高明度色を重視し細分している点が特徴
    • 4区分がさらに分割され、無彩色は系10分割となる

NCS

  • ドイツの生理学者であるヘリングが1905年に示した色の自然な体系がもとで1979年にスウェーデンの国家規格に制定されたもの
  • 色の表示は黒色度(黒み)、クロマチックネス(色み)、色相で表す
  • 色相は白、黒、赤、黄、緑、青かで構成(6主要原色)
  • 心理的尺度に基づいて人間の知覚量を記述することを目的
  • 照明光などの観察条件にかかわらずどのように見えるかという色の見えを表記できる点が特徴
  • 産業界での注目度が高い表色系

PCCS

  • 色彩調和を主な目的
  • オスワルト表色系とともに配色計画に適している
  • 色相(PCCS色相)、明度(PCCS明度)、彩度(PCCS彩度)で表示し、トーンと色相の組み合わせで表示

  • PCCS色相

    • NCSと同様に色相知覚を構成する主要原色(赤、黄、緑、青)とし、その心理補色をそれぞれの原色の対向位置に配置し、さらに中間の色相を補間し、24色の色相環で表現
  • PCCS明度

    • PCCS明度は知覚的等歩度性にもとづいて白から黒までを17分割している
    • 尺度はマンセル明度0.5ステップに対応している
  • PCCS彩度

    • PCCS彩度は心理的にもっとも鮮やかな純色との比較判断に基づいた無彩色までの間を分割
    • 純色を10sと定義し、色票で再現できる鮮やかな色を9s、代表色と無彩色との間を知覚的に等歩度になるように実験的分割
  • PCCSトーン

    • 明度と彩度の2属性で色相が異なっても比較的共通の印象を与えるものをトーンと呼ぶ
  • PCCSと色彩調和論

    • トーンという概念を用いることで配色調和を行いやすくしている

配色と色彩調和

  • 色の秩序を客観的に論じるためにいろいろなカラーオーダーシステムが作られた。これらの共通点は変化と統一のバランスがとれていることに集約される

  • 調和とは色同士の関係に変化と統一感の両者が適度に含まれているのをよしとする考えかた

  • 配色は類似系の配色対照系の配色にわけられる

  • 色相類似系の配色

    • 色相によって色相がもつ感情効果が表現しやすい
    • 多色を使った場合でもイメージのまとまりを表現しやすい配色になり失敗が少ない
    • 実際の活用場面では同系色濃淡配色と呼ばれ室内配色でよく見られる
    • 同一色相の配色:明度または彩度で色の変化をつける、調和感が得やすい
    • 隣接色相の配色:色相がわずかに異なる色同士で、色相環の隣同士のもの。色が似ているの明度、彩度で変化をつける
    • 類似色の配色:色相が似ている色で色相の差が2〜3隔たった配色
    • 色の濃淡をつくる際に、明るい色の色相が黄み方向に傾くようにすると調和感が得やすい、色相の自然な並びを使った配色になるからである
    • 自然の色相類似系のものを使う、自然の光と陰の階調の中に配色関係を見いだせる
    • アメリカの自然科学者ルードは、自然の帰路として見ている色は不快ににならないとし、このような色相変化を色相の自然連鎖といい、これをまもった調和を自然な調和とする
    • 自然の光と影によて生じる色相関係を守った配色は[見慣れの原理]に基づき違和感をけす
  • 色相対照系の配色

    • 対立的なイメージの色相を組み合わせる配色
    • 中差色相は類似系と対照系の中間に位置する、色相環でおおむね色相差が4-7の配色
    • 中差色相は不調和な分類をされるが、アジアでは伝統的な色使いに多く見られる–対照色相の配色、色相差が8-10隔たった関係に街頭する、色相の変化が大きいため、彩度感を合わせて統一感を与える
    • ビビッドトーンやストロングトーンなど高彩度色を使った配色では活動的でダイナミックなイメージを与えるのでスポーツによく使われる
    • 補色色相の配色
    • 色相が11-12差があるもの
    • 色相の変化が大きいため彩度を合わせて統一感をとる
    • 高彩度色では刺激的なイメージとなる
    • 心理補色残像の色相関係になたる、高彩度で明度が近い(赤と青緑など)を近接させると色の境目が不快になる、この場合は色の境目に白や黒のような無彩色を挟み込むことで軽減する
  • 明度の関係は配色に使う色の見分けに深く関与する

  • 明度類似系の配色

    • 明度差が小さい配色でマンセル明度における明度差が1.5程度までの配色
    • 明度が近いため色同士の明瞭性は低い
    • 明度の差が小さいため、明度が主に与える心理効果としての軽重感硬軟感を表すことができる
    • 明度差の小さい配色は、境界が曖昧になるため、境界に明度差をつけた無彩色や金属色を挟み込むセパレーションといわれる方法がよく使われる
  • 明度対照色の配色

    • 明度差がおおむね2.5以上の配色
    • 視認性が高くなり、明快で力動感の強い配色が得られる
    • 交通標識などのサインで使われる
  • 彩度類似系の配色

    • 彩度差が3前後までの配色
    • 統一感のとれた調和ある配色効果が得られる
    • 彩度差が小さい配色では、彩度が影響する感情効果、派手・地味感を表せる
    • 低彩度同士では地味な印象を、中彩度同士では色彩空間において中間色が多くなり穏やかで鈍い印象を、日本の草木染めによる配色などが典型で穏やかで素朴なイメージを
    • 高彩度同士では派手感のつい良い配色ができる
  • 彩度対照系の配色

    • 彩度差が7以上の配色
    • 明瞭性が高く、高彩度の派手感と低彩度の抑えられた印象から、明快で調和しやすい配色となる
    • 低彩度を高面積にし、高彩度を小さくアクセントカラーとして使ったりする
  • トーン差による配色

    • 日本語では色調と呼ばれる
    • 明度と彩度を合わせた概念
    • 色立体の等色相断面を適当に区分けした場合の概念
    • トーンを用いると、色相が異なってもトーン個別のイメージ特徴が出しやすく、配色におけるイメージのコントロールが容易になる
    • トーンは純色、清色系のトーンと濁色系のトーンに分類できる
    • 清色系は純色に白または黒のみを加えた色の系列、白のみの場合は明清色、黒のみの系列を暗清色という
    • 純色に白と黒、すなわち灰色を加えた系列を濁色という、明度によって暗濁色、中濁色、暗濁色に分かれる
  • トーン類似系の配色

    • トーン差の小さい配色
    • トーンがもつイメージを容易に表現できる
    • 明度、彩度に変化がないので色相で変化をつける
    • 同一トーンの配色はすべて同じトーンの色を使ったもの
    • 類似トーンの配色は、トーンが似た色同士の配色
    • トーン対照系の配色はトーン差が大きい配色で、互いにイメージが対立的である、統一を与えるには同一色相、隣接色相、類似色相関係にある色を使い、色相を類似系にする手法が一般的、見慣れの原理により明るい色の色相を黄み方向に寄せた方が自然な感じになる
    • 無彩色にストロングトーンやビビッドトーンなどの高彩度色を組み合わせることで明快な配色効果が得られる
  • 色彩調和論と調和の原則

    • 色彩調和論の発展にはシュヴルールがあげられる、ゴブラン織りの研究者であったが、色彩調和と同時対比の法則に関する著作がある
    • 色相とトーンによる調和の概念を導入し、類似の調和と対照の調和に大きく分類し論じている
  • 類似の調和

    1. 同一色相でトーンの違いをつけた配色
    2. 類似色相を使った、類似のトーンによる配色
    3. 色ガラス越しに色を眺めたような、全体が一つの色相に支配された配色
  • 対照の調和

    1. 同一色相を使い、対照的なトーンを使った配色
    2. 隣接、類似色相を使い、対照的なトーンを使った配色
    3. 補色色相を使い、対照的なトンを使った対比的な配色
  • 色立体を完成した色彩学者のオストワルトは、白(W)+黒(B)+純色(C)の総和W+B+C=100%からなるとし、オストワルトシステムを創案

    • 調和は秩序に等しいとし、オストワルト色立体において、等白系列、等黒系列、等純系列、等価値系列の4つの色系列における調和を展開
  • 色相における調和

    • オストワルトの色相環はヘリングの心理四原色である赤、緑、黄、青の対を基礎した24色相からなる
    • 「色は白、黒、純色の総和からなる」と考えた
    • 白量、黒量、純色量が同じで色相が違うものを等価値系列とする
    • 類似色相調和(色相の差が2-4)
    • 異色調和(色相差が6,8)
    • 反対色の調和(色相差が12)
  • 等色相三角形における調和

    • 完全黒、完全白、完全に反射する完全色の3色に囲まれた正三角形の領域を有彩色28色、無彩色8色でつくる
  • ムーン・スペンサーの調和論

    • 色彩調和を定量的、数値的に置き換えたのはムーンとスペンサーがあげられる
    • マンセルシステムをもとに三属性間の関連性から多くの実験にもとづき、調和の関係を調和領域不調和領域に分類
    • 調和領域は、同一類似対比、不調和領域は第一曖昧領域第二曖昧領域眩輝であらわす
    • 美度を計算式によって導き出そうと試みた
    • この調和論では、色の連想や、心理的効果、色の実際物への適合性や色に対する好悪などは除外するとしている
  • ジャッドの調和論に対する見解

    • 秩序性の原理
    • カラーオーダーシステム
    • 親近性の原理
    • 見慣れの原理
    • 共通性の原理
    • 色相支配、トーン支配
    • 明白性の原理
  • 色彩調和論はおおきく3種類に分類できる

    • 色彩調和を音楽の和音になぞらえたもの
    • 補色の関係に着目したもの
    • 類似性・対称性に関連づけた物
  • シュブルールの調和論

    • 同一色相でトーン差の大きい配色や色のついたガラス越しに見える風景も類似の調和に含めている

  • 光とは電磁波と呼ばれる放射エネルギーの一種
  • 電磁波は、粒子の性質(粒子性)と波の性質(波動性)をあわせもつ
  • 波の性質を表すものに波長がある
  • 波長の長さはnmという単位で表す
  • 光の波長は380nm-780nm、さまざまな色のとしての感覚を引き起こすことから可視光線とも呼ばれている
  • 380nm以下に紫外線やX線、780nm以上に赤外線がある
  • 太陽光をプリズムに通すと二時のような色が見える
  • 短波長:400nmあたりは紫、480nmあたりは青
  • 中波長:520nmあたりは緑、580nmあたりは黄
  • 長波長:680nmあたりは赤
  • といったように波長ごとに色がかわる
  • プリズムのように波長ごとに分離させることを分光とよび、分光された単一の光を単色光と呼ぶ
  • 波長の順に単色光を並べたものをスペクトルという
  • 各波長がどのような量のエネルギーを持っているかの分布を表したものを分光分布という
  • このような実験を最初に行ったのはニュートン
  • 白い光の太陽光はさまざまな色の集まりであることを示しており、すべての波長を均等に含めた光が白い光になる

  • 物体そのものに色があるのではなく、物体が様々な波長の光を吸収反射透過した結果で色が決まる

  • 物体は大きくわけると、光を反射する反射物体と光を透過する透過物体に分類できる
  • 反射物体、透過物体の色は波長別に入射光に対する反射光(分光反射)、透過光の割合(分光透過率)の割合で表すことができ、それぞれのグラフを分光反射率曲線分光透過率曲線という
  • 色は表面の反射を避けなければ見えない、反射は表面が凹凸のない面で起こる正反射(鏡面反射)と凹凸の面で起こる拡散反射(乱反射)にわかれる

  • 虹は空気中にある水滴がプリズムの代わりを行い、可視波長域すべてを含んだ光が分光される

  • 物体の表面で一部の光は反射され、残りは物質の中に入り込む、このときの入り込む際の方向の変化を屈折といい、入る前の角度を入射角、入った後の角度を屈折角という
  • 入射角と屈折角から物体の屈折率が計算される、波長によっても屈折率変わる

    • 青い短波長は屈折率が大きく曲がりやすい
    • 赤い長波長は屈折率が小さく曲がりにくい
  • 空に色が見えるのは、大気中の水蒸気やちりなどの粒子により光りの方向が不規則散らされるためであり、これを散乱とよぶ

  • 散乱の程度は粒子の大きさと波長の長短に関係する
  • 粒子の大きさが光の波長より小さいとき、短波長は散乱が多く、長波長は散乱が少ない
  • 散乱の程度が波長で異なる散乱をレイリー散乱という
  • 粒子が光りの波長より大きい場合は短波長も長波長の散乱の程度は同じであり、これをミー錯乱という
  • 空が青く見えるのは日中、短波長が錯乱するため、夕日の場合は太陽光が長い距離を通過する間に短波長の成分が錯乱し、錯乱しにくち長波長の光が目に届くため
  • 宇宙空間のように錯乱させる粒子がないと太陽光は直進し、色は見えない
  • 雲が白く見えるのはミー錯乱が起こるためで、すべての波長が見える

  • 光は物の近くを通過するときに進行方向が曲がる、これを回折おいう

  • 回折の結果、光の周りに色のついたぼやけた環が見えることがあるが、これを光環という
  • 光環は内側が青みがあり、外側が赤みを帯びる。散乱とは逆に長波長ほど回り込みやすいため

  • シャボン玉のように光の屈折や反射が起こり光の波長の山や谷がずれることを光の干渉という

  • 波には位相がある

  • 光源には、自然光源人工光源がある

  • 人工光源にはさらに熱放射放電に分類できる
  • 光の色は光を発する物体の色温度によって異なる
  • 温度が低い場合に分光分布は長波長の成分が多い、逆に温度が高いと短波長の成分が多い
  • この光源の色を表すのに使うのが色温度であり単位はケルビン
  • 一般に3000K以下の光源は赤みがかかっている、温度があがあるに従い赤から黄、白へ変化する、さらに温度をあげると青白へ変化し、7000Kを超えると青みを帯びた色になる

    • ロウソクが1920K, 5000K=白い(蛍光灯),
  • 光源が物の色の見えに影響を与えることを演色性という

  • 演色性は高彩度よりも低彩度のほうが起こりやすい

色が見える仕組み

  • 人間が色を見るとき、光の像が網膜に結ばれ、これが視細胞で人間の信号に変換され、視神経を経て大脳に伝えられ色を認識する
  • 可視光線を直接大脳で処理することはできない、光の情報を体内に取り込むための器官が眼であり、色を識別するのは大脳の視覚中枢である
  • これらを4つの段階に分類すると

    1. 外からの光を的確に像として網膜に結ぶ光学的段階
    2. その像を人間の体内で使える信号に変換する網膜での段階
    3. その信号を脳に伝える段階
    4. 色、形、その他の情報として脳で認識される段階
  • 眼球

    • 眼球は直径24mmの球形
    • 眼球は3層の膜からなる
    • 強膜
    • 角膜
    • 脈絡膜・毛様体・虹彩
    • 脈絡膜は血管が多く栄養を運ぶ
    • 毛様体は水晶体の厚さを調整する
    • 水晶体は虹彩の後ろに存在し、厚みを調整することで網膜上に像を結ぶことができるレンズの役割をする
    • 遠くの対象物に対して水晶体は薄くして、網膜の中心にある中心かに的確な像をむすぶ
    • 虹彩は瞳孔の大きさを調整し、光の量を調整する
    • 瞳孔が開いたとき、閉じたときの面積比は1:16
    • 瞳孔のもっとも内側にあるのが網膜
    • 網膜には視神経細胞があり、可視光線を体内で使える電気信号に変換する
    • 硝子体は水晶体の後ろにあるゼリー状の物体で眼球の3/5をしめる
    • 各器官は異なる屈折率を持っており、角膜がもっとも屈折率が高い
  • 視細胞

    • 視細胞はかんじょうたいとすいじょうたいにわけられる
    • かんじょうたいは、明暗の感覚だけに関与し
    • すいじょうたいは3種類あり、明るいところで働き、明るさ、色相、鮮やかさの感覚に関与する
    • 各波長に対する反応は分光感度で表せる
    • すいじょうたいは、波長の長さにあわせてそれぞれSすいじょうたい、Mすいじょうたい、Lすいじょうたいがある。
    • 3つのすいじょうたいの興奮の仕方で色を判別することから、色覚の三色説が考えられている
    • すいじょうたいは網膜の中心に集まり、かんじょうたいはそれ以外に存在する
    • 紫外線をフィルタする役目となる黄斑がある
  • 信号

    • 信号は最終的には神経節細胞統合され、視神経線維につながる
    • 視神経で眼の出口にあたるのが、視神経乳頭である
    • 視神経乳頭には視細胞がなくここでは光を信号に変換できない、よって盲点とも呼ばれる
    • 視神経乳頭をから信号は外側膝状体に伝達される、さらにここから視放線を経て大脳の後頭葉にある視覚野に伝えられる
  • 色覚

    • 老化によって水晶体の色素沈着が起こり黄色く濁ると短波長の成分が色素に吸収され網膜に届きづらくなる。このため短波長の色相を識別しづらくなる
    • 色盲および色弱は色の見えの違いであり、数が多い方が正常、少ないほうが異常だとする考え方は問題であるという見方がある
    • 異常三色型はすいじょうたいのL,M,Sのいずれかが弱いことを指す
    • 二色型色覚、一色型色相はすいじょうたいが二種類しかない、一種類しかないことを指す
    • 色覚異常は、長波長のLすいじょうたいが、中波長のMすいじょうたいに問題があることがおおく、Sすいじょうたいに問題があるケースは非常にすくない
    • 色覚異常者の割賄は、日本人は男性の5%, 女性の0.2%である
    • 色覚異常の検査には、正常の場合には異なった色に見えるのに、同じ色に見えてしまうかどうかを検査する石原式総合色盲検査表がある(仮性同色)
    • 色光を用いた検査法にはアノマロスコープがある
    • 色覚異常を念頭におくと、明度差をつけたり、形などの手がかりをつけることで見やすくする配慮を心に留めておく必要がある
  • 感覚と知覚

    • 暗い場所ではかんじょうたいが働き(暗所視)、明るい場所ではすいじょうたいが働く(明所視)
    • 暗い場所から明るい場所に移動するさいに、かんじょうたいからすいじょうたいへの切り替わりが発生し、これを明順応。逆を暗順応と呼ぶ
    • すいじょうたいの最も感度がよい波長は555nm付近で、かんじょうたいは507nm付近である
    • 太陽光になれた状体から、白熱電球の部屋に入ると部屋全体が橙色に見えるが徐々に白く見えるようになる、これを色順応といい、すいじょうたいの感度が変わることと関係している
    • 明暗順応では、かんじょうたいとすいじょうたいの感度移行が関係していたが、色順応にかんしては3種類のすいじょうたいでの感度変化だけが関係している
    • 太陽光はすべての波長が均等だが、白熱電球の場合は右上がりの分布になっている。L,M,Sのすいじょうたいが波長ごとの出力を調整することで色順応ができている
    • 物理的には光がないのに色と関係したものが見える現象を残像と呼ぶ
    • 残像には陽性残像陰性残像がある
    • 花火の光が残るように同じ色相が見えるのが陽性残像でであり、場所が暗いか、色を見ている時間が短いときに起こる
    • 鮮やかな色を見た後で、眼を明るい灰色に移したときに元の色とは明るさも色相も逆に見えるのが陰性残像であり、刺激を見る時間が比較的長いときに場所の明るさとは関係なく現れる
    • 陰性残像は、L,M,Sのすいじょうたいの興奮や抑制で起きると考えられている
  • 色覚理論

    • 色の見え方に疑問をもったニュートンは太陽光をスペクトルに分解し、人間の眼にはスペクトルを処理する光受容器があると考えた
    • 19世紀初頭にヤングはスペクトルを処理するのは無数の光受容器ではなく3種類の受容器であるとの三色説の考え方を示した
    • ヤングから50年後に、ヘルムホルツがスペクトルに対して3種類の受容器がどのように興奮するかを具体的に示した
    • 三色説は、二人の名前をとってヤング-ヘルムホルツ説とされた
    • 三色説に対して、ヘリングは心理的な側面を重視して赤、青、緑、黄の四原色で色相環を考えた
    • ヘリングは赤と緑、青と黄、白と黒はそれぞれ片方が送られるともう片方が抑制される性質を持つ、つまり3系列の興奮と抑制の課程で色が決まると考えた。この考え方は**ヘリングの「反対色説」と呼ばれている
    • 生理学の発展により、視細胞レベルでは3種類のすいじょうたいでの三色説が、それ以降の視神経および脳内では反対色説が成立するという両説を合わせた色覚説が現在の有力な説である
    • 色そのものには大きさがないが、物大きさは色や形の違いからそれを認識することができている
    • 二色異常の色が影響しあって見える現象に、対比と同化がある
    • 対比は背景色がテスト色に影響を及ぼし色の違いを強調する現象
    • 対比には背景色とテスト色を同時にみる同時対比(空間的対比)と背景色を先に見せ、次にそれを取り除いてからテスト色を見る継時対比(時間的対比)がる
    • 対比は明度対比、色相対比、彩度対比の順に知覚しやすい
    • 対比現象には有彩色の明るさが一定なら色がさえるほど対比が大きくなるなどのようなキルシュマンの法則がある
    • 継時対比は陰性残像が関与している
    • 同化はテスト色と背景色が近づいて見える現象
    • ある色が囲まれた色に近づいて見える現象を同化効果と呼ぶ
    • 赤と青緑、黄と青紫というように色相環で反対の位置になり混色して無彩色になる関係を補色という、対比現象や陰性残像で知覚さえる色の組み合わせはほぼ補色の関係になっている(一部例外はある)
    • 色彩学では大きさの定義ではものの大きさではなく、網膜上に映し出された像の角度で表している。この角度を視角という
    • 視角が1度以下になると色相区分が曖昧になり、2分以下では黄と青の色感度がなくなったように無彩色に見える小面積第三色覚異常がおきる。テレビはこれを利用して青と黄は赤と緑に比べて荒い情報を送っている
    • 大面積の効果としては10度を超えてさらに大きくなると20度ぐらいまでには明るさと彩度が上昇する、壁紙やカーテンなどを小さな色サンプルで選定する際はこの大きさによる見えの違いを注意しないといけない
    • 面積が大きくなり、視野全体が均一の色で覆われた状体(均一視野)では有彩色の知覚ではなく灰色と知覚される
    • 実際の形大きさが変わっても、網膜上の変化が影響しないで同じように見えることを恒常性という
    • 恒常性はよく知っている物(記憶に強く残されているもの)に起こりやすく、そうでないものは演色性で説明したように知覚される色の変化が起こる
    • 照明光の変化によって色の恒常性が起こるか、色が変化するかは十分検討すべき事柄である
    • 黒と赤、緑、青で描かれた図形で色のところが明るく輝いて、光がしみ出したように見える現象をネオンカラー効果とよぶ
    • 黒一色で描いたものなのに、中に白い図形が存在するように見える現象を主観的輪郭という
    • 配色を行うときに注意すべきこととして、ある色の目立ち具合があり、この視覚的な目立ち具合を表したものに視認性誘目性がある
    • 視認性は、色がどの距離で認識できるかという視認距離で表すことがおおい
    • 視認距離は明るさにも影響し、暗くなると視認距離に差がなくなるが、明るい場所では黒背景では黄色がもっとも視認距離が長い。危険を知らせる注意標識に用いられるのはこのため
    • 誘目性はどの背景色であっても高いのは黄、黄赤、赤であり、低いのは青紫である

色の測定

  • 色の測定を測色という
  • 測色は物理測色方法視観測色方法がある
  • 物理測色方法は、測色用イルミナントで照明し、標準的な観測者が見たときに心理物理的な量を求めるものである(イルミナントや観測者は必ずしも実在のものではない)
    • 試料からの反射光を光電受光器で直接測定して三刺激値を出す視覚値直読方法と、分光反射率を測定し計算によって三刺激値を求める分光即色方法がある
  • 視観測色方式は、あらかじめ用意された許容限界見本などで人間の眼で判断する方法、観測者によって結果が変化するので注意が必要

  • 分光測色方法

    • 物理測色方法で、光と眼と物の3つに基づく
    • 一般的には標準イルミナントD65の値を使い、眼には観測者の特性である特色関数の値を用いることにより、物(試料)の分光反射率を測定する、こうして求められた分光反射率曲線から三刺激値を求め、さらにそこからマンセル表色系の三属性などに変換され色が表示される
    • 光を各波長の成分にわけるものを分光器といい、その成分の強弱を測定するものを分光測定器という
    • 分光測定器は測定される波長の範囲と細かさによって第一種分光測光器(380nm-780nmを5nm間隔)と第二種分光測光器(400nm-700nmを20nm以内間隔)がある
    • 分光測定器から求めた測定値を分光測光値という
    • 分光反射率を縦軸に、横軸に波長にして曲線にしたものを分光反射率曲線という–透過率を測定した場合は分光透過率曲線という
    • 光の色そのものを測定した場合は分光放射率曲線という
    • 上記をひとまとめにして分光分布曲線ということもある
    • 色相別の傾向として、色相は反射の強い波長の位置によって定まる
    • 明度の傾向として、波長全域にわたる反射の強弱で定まる
    • 彩度の傾向として、分光分布曲線の起伏の大小によって定まる
    • 3原色を赤、緑、青にとらわれず、仮想の原色X,Y,Zに変換し、その値ですべての色を表そうとするのがXYZ三刺激値である
    • 刺激値とは抽象的な色空間で適宜選んだ色であるが、おおむねXを赤の量、Yを緑の量、Zを青の量と考えてよい
    • 分光分布を求めないで、色を直接測定する視覚値直読方法で使うのが光電色彩計で、X,Y,Zをそれぞれ取得できる
    • 色を正しく測定するには照明光と受光部の位置関係を考慮しなくてはならない、内部を均一な白で塗り、反射光を均一に混ぜる役割をする積分球という装置を用いる
    • 積分球では、反射光を受光部に渡らないように配置するか、反射光を吸収する光トラップを内部にもうけ反射光を除去する方法を用いる
  • 視感比色方法

    • 光から測定するのではなく、眼で見ることによって違いを判断する方法
    • 同じに見える色を探したり、作り出すための等色技術として広く実用化されている
    • なるべく比色する場合は色の表面状体をそろえたり、寸法は大きめがよいので150mmx100mnをつかう
    • 視野に合わせて回りの色を隠す正方形のマスクの開口寸法を整えて行う
    • 色の測定器で求められる計測値を二度視野の値(視角が1-4度)10度視野の値(視角が4度以上)と区別する
    • 比色をする場合は、横に並べ、境界線の幅は視角1分以下に保つ、なるべく近接しているほうがよい、当然高さが同じ同一平面上にあることが望まれる
    • 比色をする場合は作業面の補色に目を鳴らしておくのがよい
    • マスクのサイズは視角2度以上、10度以内と規定されている
    • マスクの表面は蛍光や光沢がなく、試料面の明度に近似した無彩色の面であることが望まれる
    • 環境は色比較用ブースが市販されている、ブースでなく室内で行う場合は、作業面の色が無光沢で無彩色、寸法は300mmx400nm以上が望まれる、壁の色も無光沢のN4〜5が推奨されている
    • 照明は自然昼光を使う、北半球では北空からの拡散光で、建物や樹木などの反射光が入らない状況で比色する
    • 自然昼光は太陽高度を利用して、日の出3時間後から日没3時間前までに限る
    • 人工昼光は、常用光源蛍光ランプD65という市販品で十分である
    • 照度は1000 1x(ルクス)が原則である、自然昼光では2000 1x、人工昼光では1000〜4000 1xが薦められている
    • 明るい色はやや暗めに、暗い色は明るめに照度加減すると眼の働きが楽で判定が整うと言われている
    • 観測者は色覚正常者で若年者が望まれる、着眼レンズ、サングラスを避ければ、遠視、老眼、乱視などは支障はないとされており、むしろ比色作業に熟練しているか否かの法が評価結果を左右する
  • 三原色

    • 光の三原色は、赤・緑・青紫(青)であり、R,G,Bで表す
    • 波長と色の関係では、Rは長波長域の光、Gは中波長域の光、Bは短波長域の光であり、その混色により色を再現できる
    • 光の三原色を使った色表示の考え方は、すべての色はR,G,Bのそれぞれの光の混合量を三連記すれば表示できるよう工夫したものである
    • XYZ表色系は、三原色と言わず三刺激値という
    • 三刺激値の比率を色度座標といい、色度座標xyと明るさYで表したものを色度図という
    • アメリカ光学会(OSA)が測色学的な視点から均等空間が得られるように修正を施したのが修正マンセル表色系の色票である
    • XYZ表記系の色票を色度座標値に置き換えて試すと蜘蛛の巣状に編み目が形成され、円がゆがんで表示された。均等性がある表色系であれば円は同心円になるはずで、また同じ色相の色の並びであれば直線になるはずであるが、そうならないことで知覚的な均等性を持たないとされる
    • 同心円を得るためにLab*表色系が考案された
    • Lab*表色系は、色の違いの色差を測定するのに的した表色系である
    • 米国の理学者であるアクアダムが、xy上である色とその色を区別できない色の範囲を楕円状に示したところその大きさは均等ではなく、色によって見分けられる色の差が変化することがわかっており、色間の距離が人間の見ている色の差を忠実に反映していない
    • 色の差を示すにはXYZよりも均等性をもつLab*に変換した値を用い、色の差をその色間の距離として表すとよい

混色

  • 光はすべての色を混ぜると白になるが、絵の具を混色すると黒になる
  • 色を混ぜることによって明るくなる光の混色加法混色といい、逆に暗くなる色材の混色減法混色という

  • 加法混色

    • 同時加法混色(プロジェクタ)
    • 中間混色
    • 回転混色(コマ): 色光を急に公差させ継続的に見せる
    • 併置混色(テレビ): 個々は見分けのつかないほどの小さい色点を集合させることによって混ぜる
    • 加法混色では、三刺激値(X,Y,Z)の単なる加算で新しい色の三刺激値を求めることができる
    • 三原色をいろいろな比率で混色するとR,G,Bを結んだ三角形の内部に、混色されたざまざまな色が出現する、この色の領域を色再現域という
    • 2色を混色した時にできる色は、2点の直線上を色の比率で移動することになる。白を中心として対角線上の点をつくった場合はそれが補色になる
    • 混色された色が元の色より明るくなるのは元の色のエネルギーの加法だからである
  • 中間混色

    • 光の混色ではなく、視覚としての混色である
    • 印刷物のように点を小さな点で配列し、ある距離では個々の色が見分けられないよう状態で並置されている混色を併置混色という
    • コマのように二色に塗り分けて高速に回転させると個々の色が見分けられず、あたかも一つの色に見えるようになる、これを回転混色という
    • 併置混色と回転混色の色の見えは、それぞれの色の面積比に応じた色で、明るさも面積に対応して足算された色として見える、よって中間混色も加法混色の一種であると考えてよい
  • 減法混色

    • 選択的に一部の光を取り除くことで色を作り出す混色
    • 減法混色における三原色はシアン(C)マゼンタ(M)イエロー(Y)で光の三原色であるR,G,Bとは異なる
    • 減法混色では、三刺激値の引き算では合わせない、2色の色材の透過率の積として表すことができるため、色度図上を直線的には移動しなく予想も難しい
  • 色再現

    • 実際の色をテレビ・印刷で再現するには両者の分光分布を一致すれば良いが生産コストの面で不可能
    • 人間の眼からみて同じに見えるようにするために基準として測色値(XYZ)を一致させることが行われている
    • 分光分布が異なっていても同じ色に知覚されることを条件等色という、これは三刺激値が同じであるために同じ色に見えるということである
    • ある条件において三刺激値が一致するものであるため、照明する光が変われば色は異なる、このことから条件等色と呼ばれる
    • テレビや写真において肌色や青空は人間のイメージのなかにかなり強く記憶されているため実際の測色値ではなくイメージとしての好ましい色に再現される方法がとられている
    • カラーテレビは蛍光体を利用したCRTと液晶を利用した液晶表示装置があるが、原理としても視覚的に個々に見分けられない小さな光の点による中間混色(併置混色)を利用していることは同じであり、RGBの三原色の発光強度を変える信号で色を作り出す点も同じである
    • 印刷は、インキの大きさ(網点面積率)を変えてさまざまな色を作り出す方式であり、インキを重ねる減法混色と重ならない部分での中間混色(併置混色)が利用されており、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックインキを使用し減法混色と併置混色を起こしていることになる

色と文化

  • 色彩によってある時代や地域の文化の特性が表されることを色彩文化という
  • 文化の力が強いのは、風土性が与える自然環境と歴史が与える人為環境の接点において感性の活動によって形成されていくものだからである
  • 日本の社会は紫にとりわけ高い資格を与えてきた
  • 白、黒、赤は最も古い時代から使われた原始社会の色の3点セットであるが、この3色は未開社会の色セットとして世界共通に認められてもいる

  • 飛鳥時代

    • 588年に最初に手にした鉱物性顔料であり、奈良時代にはいると絵の具の記録から各色相の色が整ったとされ、金色、銀色のほか臙脂藤黄が含まれる
  • 奈良時代

    • この時代行われた彩色では、絵の具のほか貝や黒柿など実物の色や染めた象牙も色として使われており当時は素材の色が絵の具の色と同等に見られていた
    • 特徴づけるのはうんげん彩色であり、基本は一つの絵の具を明暗に3分割して外にいくほど明るくなるように並べ外縁をしろでくくる
  • 平安時代

    • 三種類の色で配色することは平安時代の色目などにも例がみられ、フランスの国旗をはじめ今日でも多くみることができる
    • それ以前の支配的だった中国文化の影響から脱し、和風文化が確立された、色彩では染色技術の発達と安定により多数の色のバリエーションが作られるようになった
    • こきあかに代表されるような技術的要素、材料の経費が共通する問題となり特定の地位のものが着用できる禁色と誰もが着衣できる聴色(ゆるしいろ)という形で衣服の色の使用にそのまま反映されていた
    • 禁色以前は、当色という制度があり、自分の身分の色と下位の身分の色が使え、身分の高いものほど広く色が使えたたため着用の乱れが起き、禁色の制が必要とされることになった。
    • 色彩感覚を視覚的に表した色目は衣類の配色に使われ、江戸時代まで影響を残した、これは世界に類がない日本独自の季節の植物の名称で表された自然との融合感覚性による配色である
  • 鎌倉時代

    • 武士の性質が強く表れ、新しい様相を特徴的に示す例に甲冑がある
    • 甲冑は金属、染色、皮革、膝芸などの技術の総合によってつくる芸術であり、戦場において誰と誰とが区別しやうすいように目立つ効果的な色と文様によって作られる、色模様については平安時代からの呼び名が踏襲されており、匂い(上方がこく、下方に薄くぼかす)裾濃(反対に下方が濃くなるぼかし)村語(濃淡が場所で決まらない変化のあるぼかし)などが使われている
    • 工芸品にも時代性が表れ、金銀蒔絵の技術の高さとともに模様に埋めなどが重んじられているように吉祥性が表されている遺品が多い
    • 海松色(るみいろ)ひはだ色など重い色が好まれたのが特徴である
  • 室町時代

    • 現れた色の代表としては柿色がある、この色は一般の世間からはみ出しものをしるしあげた色でもあった
  • 桃山時代

    • 金彩美の時代。室町時代には金閣寺があるが、花に対しての寂である銀閣寺があった。桃山時代は金色だけが象徴する、摺箔、縫箔という金を布地化した織物も出現した
    • ポルトガルがもたらした南蛮文化にも影響を受けており奇抜なデザインで蒔絵された
  • 江戸時代

    • 色彩の時代であり、この時代に開発された鬱金(うこん)、江戸紫、納戸色などの多数の色名は今日も使われている
    • 衣服の贅沢を禁じるために幕府が小袖の生地の値を制限する禁止令を出した
    • 暖色系が支持されていたようだ
    • 経費のかからない茶色、さらに鼠色の染め物が多数現れ、四十八茶、百鼠の言葉を残した
    • 茶色は人気の歌舞伎役者にちなんで団十郎茶やしかん茶、ばいこう茶、ろこう茶、りかん茶などがある
  • 絵画

    • 色彩の描写価値と独自価値の二つの役割を区別しておくとよい
    • 色彩の独自価値を重視した表現の中でも、宇宙や宗教的な教養などに深く結びつけた象徴的価値と呼ばれる用法が目立つ
    • ルネサンス期にはリアリズム自然主義への方向転換から、描写価値が重視され、カラーオーダーシステムへの関心が高まる動きが見られた
    • 印象主義は、1874年の第一回展覧会から1886年まで続いた絵画運動である、対象の固有色を否定し、すべてが光のもとに変化する現像色に置き換えたことが大きな特徴、絵の具の混合で画面の明るさが損なわれることを嫌い、小色面を好み、点描と呼ばれる技法が顕著である
  • 近代

    • 1960年初頭にシャーベットトーンが日本流行色協会から発表された、1960年代はこれを皮切りに原色調へと彩度が上昇していく、様々な商品にこの時代を特徴付けるイエローが現れている
    • 1970年代中期から後期にかけてアースカラーが幅広く人気を集めた、ベージュは現在に至るまで自然志向の代表色として市場に定着している
    • アースカラーの流行は、シャーベットトーンと違い自然発生的な生活者主導型の性格を持っている
    • 70年代の流行色や人気色は多くが濁色系で、60年代の原色系の派手感に対して地味感の強い色だった