ソニーらしさって何だろう

はやいものでソニーを辞めて二年もの月日が流れたわけなんですが、id:gamellaさんの「「○○らしさ」と「モノづくり」は危険な思考停止ワード」http://d.hatena.ne.jp/gamella/20090403/1238766618
という記事をたまたま読んで、ソニーらしさって何だろうとふと思った次第。

実際、「ソニーらしさ」なんてものは会社で教わるものではないので人によって考えは違うかもしれないけど、ソニー社員であればおおよそルーツになるものが存在する。

創業者である井深さんが書いた 東京通信工業株式会社設立趣意書 がそれになると思う。

この内容は今でも通用するものだと思うし、辞めた今でもなにか自分の原点を見つめたいときに読んだりもする。そしてソニー社員なら誰しも知っているであろうフレーズが「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
ソニーらしさとか、ソニーのDNAとかの根底にあるのはこの言葉だと僕は思う。

そして、ここから

  • 人(他社)のやらないことをやる
  • 上司に隠れてものを作る

といった文化が生まれてきたわけ。

ソニーらしさだとか、ソニーの物作りが失われていると言うならこのあたりの文化をいかにして取りも戻すかがテーマになるんじゃないだろうか。

やっぱり、ソニーらしさっては商品そのものにあるんじゃなくて、技術者達が自由に、愉快で、情熱的にものをつくってることそのものがそうなんじゃないかと思う。作っている人が楽しくない商品なんて絶対に楽しくないよ。

でもソニーはなんでこんなことをずっと言われるのかというと、みんななんだかんだ言いながら期待してるんだと思う。よくブランドや国産には信頼料が含まれるような話があるけど、SONYは信頼だけではなく期待というものも含まれてると思う。

ただ良くも悪くもソニーはでかくなりすぎた。正直、トップを変えるだけでなんとかなるレベルではのもはやないと思う。ジョブスのようなカリスマがいれば話は別だけどそんな人はそうはいない。

大企業はたくさんの従業員を抱えていて、その社員たちをくわせていかないといけない。正直、綺麗事だけじゃ生きていけない。ただのコスト戦争もしないといけないのかもしれない、でも期待料がとれないんだったら、設立趣意書と現実が沿っていないんだったら、SONYの4文字をつけて売るなよと言いたい。(まぁ・・・在職中からちょくちょく言ってたけどね・・・、「いや別に良いけど・・ソニーって看板はずしてもらえません?」って)
とはいえ実際そんな理由でソニーをなくすのは誰も賛成しないだろうし、ソニーをベンチャーにして、ただの大企業を別に分けたらいいとか個人的に思うけど、まぁ研究所をぼこぼこ閉鎖してたから、方向性としては逆なんだろうな・・・
まぁ厳しいこともいろいろ思うけど、ソニーを辞めて客観的に見てみれば超大企業の中ではおもしろいことはまだまだやってると思う。やっぱり、自分としてはソニーは戻りたいと思わせるような会社であって欲しい。